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講義紹介

特徴ある講義を紹介

物理学コース

相対性理論

どんな内容の講義?

物理学の大きな柱の一つである相対性理論。名前は良く知られているけれどもその中身は意外に知られていないこの理論を学び,時間と空間が運動や重力によってどのように変化するのかを理解することができます。

特徴は?

現在の宇宙はわずか6つのパラメータによって決まる。現代物理学は,そんな驚くべき事実を明らかにしてきています。そんな物理学のうち,宇宙のような大きな領域で重要となってくるのが時空を取り扱う相対性理論です。この講義では,物理法則は座標系の取り方によらないという相対性原理を軸に,特殊相対性理論と一般相対性理論とを統一して説明します。

座標系を慣性系に限った特殊相対性理論では,光速度不変の原理に基づき,「質量とエネルギーは等価である(E=mc2)」,「高速で移動する物体の時計は遅れ、棒は縮む(ローレンツ収縮)」等の事実を解説します。一般相対性理論では,加速度系を含む一般の座標系を設定し,見かけの力であった慣性力と重力の等価性を用いることでアインシュタイン方程式を導きます。

微分幾何学の記法を用いることで,曲がった空間でのベクトルの平行移動(図1左)と共変微分,曲率等の概念が座標の選び方によらないことが明瞭になります。一般相対論の重要な帰結のひとつであるブラックホール時空の導出とその性質はとくに詳しく説明します(図1右)。

現代物理学においては,重力を含め自然界に存在する4つの力(重力,電磁気力,強い力,弱い力)はすべてゲージ理論によって記述されます。現代の宇宙論と素粒子論は一体になって発展していますが,この講義を聴講することで理論物理学を深く学ぶための基礎が得られることでしょう。

図1. (左)球面状(曲がった時空を表す)でのベクトルの平行移動がどうなるかを表した図(本学の4年生が作図)。(右)シュワルツシルトのブラックホール(回転をしておらず電荷も持たない,もっとも単純なブラックホール)周辺における時空の様子。中心に近づいて行っても,周長はそれほど減少せず,空間が引き延ばされていることを視覚的に理解できる。

どんな力を身につけられる?

相対論は時空に対する人間の考え方を大きく変えた,物理学の金字塔のひとつです。当初はそれほど実用性はないと思われた理論でしたが,科学の進歩に伴い,高精度の計測や通信においては相対論効果を無視することができなくなってきています。例えばGPSは衛星に搭載された高精度の時計に基づく信号を使っていますが,その高度(=重力ポテンシャルの違い)や周回運動による時間の進み方の差を補正することで正確な動作が保証されています。相対性理論をきちんと学ぶことで,高精度の計測が必要となる分野で必要となる力を養うことができます。また,将来理論物理などの分野を目指す場合にも,相対性理論を理解することはとても重要です。