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講義紹介

特徴ある講義を紹介

化学・生命科学コース

物性化学

どんな内容の講義?

ポリ袋や衣類の繊維といった構造材,色とりどりの塗料や液晶ディスプレイ,SUICAなどに使われる記憶媒体,洗剤から爆薬まで。化学に基づくさまざまな化合物は,現代社会のありとあらゆるところで利用されています。この講義では有機化合物を中心に,さまざま物質がどんな用途に使用されているのか,その目的にはどんな特性が重要となってくるのかを幅広く学びます。

特徴は?

ある目的に必要となる性質と,分子や結晶の構造とを関連付けて学ぶことができます。例えば,有機化合物の多くは波長の短い紫外線しか吸収できず無色ですが,広いπ電子系を持つとより長い波長の可視光を吸収できるようになり,色が付きます(図1)。

π電子系は色以外にもさまざまな特性に関係していて,有機物の物性を考えるときにはとても重要な要素です。例えば,鋼鉄を大きく上回る引張強さを示し『最強の有機繊維』といわれるPBO繊維(図2)は,π電子系が広がることで剛直な(=まっすぐで変形しにくい)分子となり,しかも隣の分子との間に引力が働きます。PBO繊維のけた外れの強度には,これらの特徴が大きな影響を与えています。

『ある目的にはどんな特性が必要なのか』に加えて『それを実現するためには,どんな分子構造が必要になる(影響を与える)のか』を学ぶことができるのがこの講義の特徴です。

インジゴの分子構造

図1. 藍染やデニム生地の染色に使われるインジゴの分子構造.広いπ系が発色に重要な役割を果たす。さらに,窒素原子の持つ非共有電子対がπ電子系に押し込まれる効果や,カルボニル基(C=O)が電子を引っ張る効果も発色に影響を与えている。

PBO繊維の分子構造

図2.PBO繊維の分子構造。この分子構造には,結合を強くする工夫や,分子鎖同士が積み重なりやすくなるような工夫がいくつも組み込まれており,強度を向上させている。

どんな進路につながる?

新しい機能性材料を開発するような場合に,この講義で学んだ知識が役立ちます。例えば塗料,有機半導体,電池などの材料を開発する化学系のメーカーやそれらを取り扱う商社などの仕事では,この講義で学ぶ知識が必要になってきます。この講義では有機物が関係するさまざまな領域をカバーしており,幅広い進路の「入口」となるよう,各分野で重要となる考え方,用語,原理をわかりやすく紹介しています。